本年度も川前のビール完成 地域おこし協力隊の三戸さん 今秋には醸造所も
川前地区の魅力を発信する取り組みで、地域おこし協力隊と地元関係者が連携したクラフトビールとして、新しい「いわき乾杯!KAWAMALE(カワマエール)」が完成した。本格的な製造に向けた試作品で、昨年度のさわやかな香りが特徴のペールエールに続いて、本年度はあっさりとフルーティーなセゾンに仕上げた。
中心となって手がけるのは、地域おこし協力隊の三戸大輔さん(35)で、3月の任期終了後には、川前町下桶売に定住し、今秋にもブルワリー(醸造所)を立ち上げる。
現在ではあまり知られていないが、川前地区は50年ほど前まで、ビールメーカー向けに、原料のホップや大麦を育てていた。三戸さんは地域の特産品を目指して、クラフトビールの持つ可能性に注目し、ホップや大麦の栽培に着手した。
そうした思いに、農家をはじめとした人たちも賛同し、昨年度は350本の試作品を完成させた。クラフトビールそのものへの探求心も強める。いわき市では飲食店主が立ち上げたイベントとして、昨年は7千人が訪れた「ビア博いわき」が開催されており、運営に協力しながら、市民らの嗜好に触れた。
本年度のはセゾンは、前年の4倍近い1300本ができ上がった。主に川前町上桶売で栽培・収穫した生ホップと、二条大麦をぜいたくに使い、酵母由来の柑橘系でパンを思わせる香りと、生ホップのフレッシュさで、飲みやすく料理にも合うクラフトビールだ。
2年連続でクラフトビール造りに一定の成果を収めたことは、地域おこし協力隊の任期を終える三戸さんにとって、初の「純いわき産クラフトビール」を製造する一歩ともなった。
「いわき市にクラフトビールの文化を根付かせ、いわきでビールと言えば、カワマエールとされることを目指したい」と三戸さん。市民の乾杯に、間もなく新たな選択肢が増える。