勿来・國魂神社の粕掴み神事 市文化財に答申 独特の風習評価される
市文化財保護審議会(樫村友延会長)は30日、勿来町窪田の國魂神社に伝わる粕掴(かすつか)み神事と関連行事について、市指定の無形民俗文化財にするため、市教育委員会に答申した。
神社境内の御神田で収穫された米でどぶろくを醸造し、酒粕と神社に奉納された鮭(さけ)を混ぜ合わせ、供えた粕鮭を参拝者が奪い合う神事で、現在は毎年10月の第2日曜日に催行されている。粕は護符の代わりに持ち帰ることができるほか、みそ汁に入れて飲むことで、風邪をひかないとされている。
同審議会では、同神社が市内で唯一酒造免許を持ち、御神田や田神社、種まき桜、井戸を残す古い農作業と信仰が保持されている状態を特筆。どぶろくの醸造方法が中世から伝わる水、米、麹(こうじ)の醸造技術を反映している点が貴重で、鮭を加工する独特の習俗が残っていることなどから、文化財指定の価値があると判断した。
令和2年に市教委から同文化財の調査依頼を受けていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、祭礼の中止が続いたため神事の内容を精査することができず、昨年ようやく催行されたことから、あらためて答申した。
答申は市役所東分庁舎で行われ、樫村会長が服部樹理市教育長に答申書を手渡した。服部教育長は「綿密な調査や慎重な審議をされた上で、答申されたことに御礼申し上げます」とあいさつした。同審議会の渡辺智裕副会長が同席した。
4月26日開催予定の教育委員会に諮(はか)り、議決を経た上で、5月上旬に市指定文化財となる予定。