きょう「福島国際研究教育機構」浪江町で開所式 いわき市への効果も期待
東京電力福島第一原発事故からの復興を目指し、政府が整備した国内外の研究者が集う拠点「福島国際研究教育機構(F―REI)」の開所式が1日、双葉郡浪江町で行われた。
F―REIは、創造的復興の中核拠点と位置付けられ、主な研究開発の内容として、<1>ロボット<2>農林水産業<3>エネルギー<4>放射線科学・創薬医療<5>原子力災害に関するデータや知見の集積・発信――の5分野を挙げており、政府は設立から7年間で、50程度の研究グループを組織し、国内外の研究者数百人の参画を目指している。
開所式には岸田首相も訪れ、「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし。F―REIは復興に向けた夢と希望で、創造的復興の中核拠点である。福島に立地する研究施設の取り組みに横串をさし、司令塔としての機能を発揮してもらう」とあいさつした。
F―REIの山崎光悦理事長は「世界に冠たる復興の中枢として、日本の科学技術力、産業競争力をけん引する力を持つ場」と述べ、内堀知事も復興のさらなる前進を期待すると語った。
施設はJR常磐線の浪江駅西側で、常磐道浪江IC(インターチェンジ)に近い浪江町の川添地区に立地する。政府は、県内の自治体や大学・研究機関と連携し、F―REIの効果が、広域的に波及する取り組みを進めると掲げている。事業規模は、設立から7年間で1千億円となっており、令和13(2031)年3月までに本格運用を予定している。
また近接するいわき市にも、大きな効果をもたらすことが期待されている。市内の地域企業や福島高専との連携、港湾全体で温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラルポート」を進める小名浜港の利用に加え、浜通りの中心都市として、海外の研究者に向けての国際会議やレセプションの受け入れ、宿泊施設の提供が想定されている。
市は新年度から、総合政策部政策企画課内に、高等教育機関との連携で人材育成を担う「F―REI連携企画官(学術担当)」、産業振興部産業みらい課内に、産業界と連携した研究成果の活用等を行う「同(産業担当)」を配置した。市内にはF―REIいわき出張所も設けられる。