いわき市医療センター 今秋にも手術支援ロボット「ダヴィンチ」導入へ
内郷御厩町のいわき市医療センターに、今秋にも手術支援ロボット「da Vinci(ダヴィンチ)」が導入される。ロボットアームによる遠隔操作を通じて、患者の身体的負担が少ない内視鏡の手術の特徴を生かしつつ、人間の手では難しい角度からも手術が可能となる。
ダヴィンチは、常磐上湯長谷町のときわ会常磐病院に配備され、10年以上にわたって、泌尿器科や婦人科の領域で実績を上げている。いわき市の中核病院でも使われることで、地元の医療環境向上が期待される。
同センターに導入されるダヴィンチは、米国インテュイティブサージカル社製で、第4世代にあたる最新鋭機となる。
3本のアームと1本のカメラが装着され、手ブレを自動的に制御できるため、血管の縫合や切除を安全に進められる。拡大された3次元(3D)の立体映像で、より精細に組織の確認もできるという。
通常の開腹手術と比較して出血量が抑えられるため、小さな傷口のため術後の痛みが少ないことや、患者の早期の社会復帰が期待できる。また長時間無理な姿勢で、手術をしなくて済むため、医師の肉体的・精神的な負担も和らぐとされる。
11日に同センターで、報道陣向けの公開が行われ、神山篤史外科部長がデモンストレーションに臨んだ。神山部長は4月に東北大学病院(宮城県仙台市)から着任し、ダヴィンチを操作する免許を取得している。
価格は約2億8600万円+税。6月に納品が予定され、院内に専用の手術室を設置する。現時点で神山部長のみが、ダヴィンチの免許を有しているため、同センターでは拡充を図っていく。どの診療科で使用するかは今後検討するが、神山部長の専門分野から、直腸がんの手術での運用も想定されている。
同センターの担当者は「病院の魅力向上につながり、研修医の確保や新たな医師の招へいにつながる」と期待する。神山部長も「今後ロボットによる手術が、主流の時代を迎えると考えられる中で、市民の皆さんに質の高い医療を提供できる」と話している。