F―REIいわき出張所の開所式 内田市長「企業リストアップで連携模索」
東京電力福島第一原発事故からの復興を目指して、1日に双葉郡浪江町に発足した国内外の研究者が集う拠点「福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)」のいわき出張所の開所式が15日、内郷綴町の市内郷支所で開かれた。
内郷支所には、量子生命科学研究所(旧放射線医学総合研究所)のいわき出張所があったが、1日付でF―REIと統合した。新たな組織として始動し、浜通りの中核都市として、いわき市から研究成果を発信していく。
開所式に合わせ、市とF―REIは連携協力に関する協定も締結した。F―REIが協定を交わすのは福島高専、県立医大(福島市)に次いでで、自治体とは初となる。
いわき出張所の設置に当たって、F―REIの山崎光悦理事長は「F―REIは世界に冠たる創造的復興の中核拠点であり、福島の方々にとっても夢と希望の光であるべき。いわき出張所を発信の場として、地元の企業・団体の皆さんと交流する場にしていきたい」とあいさつした。
内田市長はF―REIに期待する点として、市内の企業との連携を挙げた。市内の約100社をリストアップし、F―REIの研究分野とどうかかわれるか精査していると明かし、技術革新につなげたいと語った。
F―REIでは主な研究開発に、<1>ロボット<2>農林水産業<3>エネルギー<4>放射線科学・創薬医療<5>原子力災害に関するデータや知見の集積・発信――を掲げている。
高等教育機関との結びつきや、国際会議の開催に向けたもてなし、研究者の居住サポート、外国語が使える国際人の育成などにも触れ、「たくさんの若者がいわき市・浜通りで起業や研究を行うことで、本当の復興につながっていく」と期待をにじませた。
F―REIによると、当面はいわき出張所に職員は常駐しないが、地元関係者や市の連携企画官との意見交換に活用するほか、F―REIが組織する研究グループでも利用していく。また山崎理事長は、市内にさらなる拠点を計画する考えにも言及した。