エフレイと連携 いわきから浜通りに横断組織呼びかけへ 地元に成果還元を
東日本大震災・東京電力福島第一原発事故からの復興の一環で、1日に双葉郡浪江町で発足した「福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)」について、研究成果を地元に還元できるよう、いわき市から浜通りの自治体に、横断的な組織の設立を呼びかける考えが示された。
エフレイとの連携に向けて、産学官で構成された市の推進協議会が25日、平のいわき産業創造館で開かれ、会議の席上で意見が出された。
推進協議会には内田市長のほか、市内の高等教育機関や経済団体の担当者が参加し、冒頭を除いて非公開で行われた。エフレイは設立から7年間の事業規模が1千億円とされ、国内外から研究者が招へいされるため、内田市長は会議終了後、「浜通りの首長間で連携し、一緒になって応援する体制ができることが望ましい」と語った。
研究者の定住が想定される中で、外国人に対するもてなしを充実させる必要性も強調し、「浜通りのさらなるアクセス向上について、一致して国への働きかけもできれば」との展望も見せた。
出席者のうち、大学等からはそれぞれの取り組みに合わせ、関係を深めていきたいとの意向が伝えられた。東日本国際大からは、米国で冷戦期に核開発が進められたハンフォードから、除染や復興の知見を得る事業を展開していることから、研究プログラムと結び付ける提案があった。
医療創生大は薬学部を持つ点から、研究の重点項目の一つ「放射線科学・創薬医療」と合致するとし、福島高専からは専攻科を卒業した後の進路として、エフレイでの研究につなげる人材育成が提唱された。
市内の企業サイドとしては、一つでも多くの共同研究の実績を上げたいとする希望があり、市と経済団体が一致して、両者の調整に当たる方針が確認された。5月10日には最初の法定協議会が、双葉郡大熊町で予定されており、こうした意見を集約して報告する。
内田市長は、市がエフレイとの連携企画官を新設し、市内郷支所にいわき出張所が開設された点を踏まえ、「若者の流出が進んでいる中で、エフレイの研究力をいかにいわき市・浜通りに対して、実装化していくかということが、雇用拡大や産業振興に重要になる」と話した。