救急車遅れで対策会議 市消防本部 再発防止にルート確認と声出し徹底へ
市消防本部は19日、救急車の到着が相次いで遅れるトラブルが生じた件を受けて、事故防止対策検討会議を開催した。平字正内町の同本部・平消防署統合庁舎で開かれた検討会議には、同本部の各課と市内13カ所の消防署・分署・分遣所の担当者が出席し、再発防止に向けて、日頃からのルート確認に加え、声出しを徹底することを明文化することを決めた。
いわき市では4月と5月の計2回、救急車の到着に遅れがあった。1件目は遠野町の現場に、ナビで示されたルートで向かったところ、現場に着かずいったん引き返したため、約14分の遅れがあった。2件目は5月13日、川前町からの搬送途中、常磐道いわき中央ICで誤って下り方面に入り、患者が21分遅れで病院に運ばれた。
いずれも心肺停止の状態で、搬送先で死亡が確認されているが、診断した医師によると、遅れと亡くなったことに因果関係はないという。検討会議は冒頭を除いて非公開で行われ、それぞれの発生状況を踏まえて、問題点と今後どうすべきかについて話し合われた。
会議の結果、1件目に関しては、救急車が入れない場所だったため、消防署ごとに普段から管内の地理を把握するよう心掛け、指令課と連携して情報共有を図る方針を固めた。
2件目については、通常も進路に対する声出しを実施している中で、今回は同乗する隊員が心肺停止の傷病者に対応していたため、運転する隊員の誤進入に気付けなかったと指摘。こうした状況でも必ず運転する隊員が声を出して、誤りが起きないようにすることを、活動要領に盛り込むことを決定した。
大平公規消防次長は、担当者に再発防止に努めるよう指示した上で、「どちらの方も心肺停止の状態で、家族にとっては一刻も早く、医療機関に搬送してほしい気持ちだったと思う。市民の消防に寄せる期待と信頼は大きい。同じことが起きないよう、しっかりと取り組んでいきたい」と話している。