原発処理水の海洋放出巡り 県漁連がいわき向け説明会 反発の声も
東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡り、今夏にも海洋放出が予定されている件について、県漁業協同組合連合会(県漁連)は25日、中央台公民館で、いわき市の漁業者向けの説明会を開催した。
説明会には約80人が出席し、冒頭を除いて非公開で行われた。経済産業省の松永明参与や、東電の新妻常正フェローら担当者から、海洋放出に向けた取り組みや、風評対策などが伝えられた。
海洋放出にあたり、国と東電は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束しており、県漁連の野﨑哲会長は「これまで通り理解はできないが、事業内容については分かってもらえたのでは」と語った。
ただ出席者からは反発の声が相次いだ。市漁業協同組合(市漁協)四倉支所の佐藤芳紀さん(64)は、処理水を放出する海底トンネルの長さが約1kmという点に対して、「海ではあっという間の距離。沿岸漁業の漁師が心配するのは当たり前」と指摘した。
その上で「一般の漁業者まで、しっかりと話が届いているのか。自分の息子は帰郷して漁師に就いたが、こうした状況では後継者に関してもままならない」と懸念を示し、丁寧な仕組みづくりを強く求めた。