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原発処理水の海洋放出巡り 西村経産相が来市も 県漁連改めて反対

 東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡り、今夏にも予定される海洋放出に向けて、西村康稔経済産業相は11日、中央台飯野の県水産会館を訪れ、県漁業協同組合連合会(県漁連)の拡大理事会に出席し、野﨑哲会長らと面会した。
 西村氏は国際原子力機関(IAEA)が海洋放出に対して、「国際的な安全基準に合致していると結論付けた」とする包括報告書を公表したことや、原子力規制委員会の使用前検査に設備が合格した件について直接説明したが、野﨑会長は改めて反対の姿勢を示した。
 面会は拡大理事会の席上で実施され、冒頭を除いて非公開で行われた。政府と東電は2015(平成27)年、多核種除去設備(ALPS=アルプス)などで浄化された汚染水に関して、県漁連と「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束を交わしており、海洋放出の予定時期が迫る中で、理解を得られるかが焦点となっている。
 終了後に記者団の取材に応じた西村氏は、出席者との意見交換を踏まえて、「(海洋放出によって)実際にどういう影響が今後出てくるのか、大きな懸念や不安の声があった。そうした気持ちに寄り添いながら、漁業を継続していけるよう、国が責任をもって取り組んでいくと申し上げた」と語った。
 「関係者の理解を得ないまま、放出は行わないとする方針は順守する」とも強調したが、何をもって関係者の理解とするかは、今回の来市でも明言を避けた。また夏ごろの定義はないとし、具体的な放出時期を決めている訳ではないと述べた。
 一方で野﨑会長は「(40~50年とされる)廃炉作業が終わって、福島の漁業が存続していたら、われわれはようやく『理解したね』って立ち位置になれる」と、福島の海で生きていく思いを明かした。
 何よりもこの12年にわたって、福島の漁業が原発事故に翻ろうされて生じた懸念が、ぬぐい切れないと指摘した。

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