原発事故の「いわき市民訴訟」 東電が原告団に謝罪 判決真摯に受け止める
東京電力福島第一原発事故を巡り、市民1337人が国と東電を相手取って、慰謝料などを求めた訴訟(通称・いわき市民訴訟)で、3月に仙台高裁が東電の責任を認め、計3億2660万円の支払いを命じた控訴審判決が確定したことを受け、東電は17日、原告団に対して謝罪した。東電による謝罪は3件目で、原発事故による避難区域外の集団訴訟には初めて。
謝罪は平のいわき産業創造館で行われ、原告団・弁護団ら約40人を前に、福島復興本社の高原一嘉代表が、小早川智明社長の謝罪文を代読し、「取り返しのつかない被害および混乱を及ぼしてしまったことについて、心から謝罪いたします。誠に申し訳ございません」と述べた。
仙台高裁の判決に関しては「真摯に受け止めており、事故を起こしたことに対し、深く反省し、当事者としての責任を痛感しております」とし、「二度とこうした事故を起こさぬよう、安全対策を徹底してまいります」と強調した。
その上で「当社グループにとって、『福島への責任の貫徹』が最大の使命であり、その責任を果たすために、存続を許された会社であることを社員全員が改めて肝に銘じ、全力で取り組んでまいります」と締めくくった。
原告団長の伊東達也さん(82)は、謝罪に一定の理解を示しつつも、経営上の判断を優先させて津波対策を怠った点などが抜けており、本当に真摯に受け止めているのかと疑義を呈した。なお仙台高裁の判決では、国の責任を退けたことから、原告団は国について、最高裁に上告を決めている。