勿来にがんサロン「結」 看護師の経験生かし心のよりどころに
看護師の菅野寿美子さん(65)は、勿来町窪田の園部ファーム&ライフ農産物直売所「そのふぁ」内にあるフリースペースで今春から、がん患者の心の相談を受けるボランティアを始めた。さまざまながんを患う人や、その家族の心の拠り所になっているのが、がんサロン「結(ゆい)」。菅野さんは「私の大切な居場所にもなっていて、ありがたい」と語る。
菅野さんは、市医療センターで看護師として定年まで勤め上げた。長年にわたり医療の現場で、いのちに向き合ってきた経験を生かし、退職後は5年間、同センター内にあるがん相談支援センターで、がん患者の相談業務にあたった。
現在は民間のクリニックで看護師を続けながら、そのふぁで毎週木曜に「結」を開いている。「結」を開いたきっかけは、退職後5年間にわたる相談業務の経験だ。いまや日本人の3人に1人ががんで死亡するといわれるが、がん発覚後は病気への不安や家族との関係性、経済的な問題……とたったひとりで悩みを抱える人も少なくない。
罹患をきっかけに生活が一変し、病院と自宅の行き来になってしまうといったケースも見られ、「病院だけでなく、地域のなかに気軽に相談に来られる場所を作りたい」という思いが募った。
大事にしているのは、相談者との信頼関係。まずはすべてを受け止める心構えで、静かに耳を傾ける。たとえ心のもやもやが言葉にならなくても、決して無理に聞こうとはしない。少しずつ心を開き、心に抱えていた辛いことや苦しいこと、家族への思いを言葉にすると相談者が自分自身で「答え」を見つけ帰っていく。その相談者の顔が、柔らかな表情になっているのがうれしいという。「私にとっても大切な居場所。相談に来る皆さんに救われています」と語る。
開設は祝祭日を除く、木曜午前10時~午後2時。参加無料。予約不要。