福島県沖の底引き網漁解禁 原発処理水の放出後初「一生懸命いい魚取る」
いわき市を含む県内の沖合底引き網漁が1日、東京電力福島第一原発で生じる処理水の海洋放出が開始されて以降、初めて解禁された。いわき市の水産物ブランド「常磐もの」を代表するヒラメやカレイ、メヒカリといった魚が次々水揚げされ、ハマは初日からにぎわいを見せた。
1日未明になると、いわき市の漁港からも続々と船が繰り出した。「海洋放出は国が安全と言う以上、自分たちは一生懸命いい魚を取ることにある」。久之浜漁港に最初に戻ってきた遠藤洋さん(54)は、力強く語った。1日は午前2時ごろに港を出て、チダイやホウボウ、マコガレイなどを取ってきた。同7時半すぎに帰港すると、次々と陸に揚げられた。
気になるのは、安定した価格で推移するかという点。「やはり風評被害が起きないかは心配だ」と話す。底引き網漁は秋が深まるにつれ本格化するといい、変わらず海と向き合っていく姿勢を示した。
さっそく久之浜漁港では競りが行われ、威勢の良い掛け声がハマに響いた。市漁業協同組合(市漁協)の担当者によると、価格は海洋放出前と変わっておらず、現時点で大きな影響はないという。ただ「きょうだけでは分からない部分もあるので、1カ月は推移を見守りたい」と述べた。
市漁協の組合長・江川章さん(76)は「海洋放出が始まってから、最初の漁とあって、どこか引っ掛かりを感じる部分もある。仮に問題が起きれば、風評につながるので、このままトラブルがないことを祈る」と明かした。