浸水の国宝白水阿弥陀堂 10月1日から拝観再開へ 25日に文化庁確認
台風13号に伴う記録的大雨で甚大な浸水被害に遭い、拝観を中止している県内唯一の国宝建造物「白水阿弥陀堂」(内郷白水町)について、お堂を管理する願成寺(赤土隆行住職)は20日までに、25日に予定されている文化庁の現地確認を受けて、「問題なし」と判断されれば、10月1日から拝観を再開する見込みであることを明らかにした。
白水阿弥陀堂は8日夜、近くを流れる新川が氾濫し、浄土式の庭園に濁流が押し寄せて水位が急上昇。境内全体が2m以上浸水し、阿弥陀堂も一時、床上20~30cmまで浸かるなどの被害を受けた。国指定重要文化財の仏像「阿弥陀三尊」「持国・多聞天王」に被害はなかった。
翌9日から復旧作業を始め、地元の市消防団員や住民の協力を得て、境内の排水作業と泥の撤去、砂利の敷き直しを19日までに完了。現在は拝観再開に向けて受け入れなどの準備を進めている。文化庁の現地確認と指導は25日午後に予定されており、阿弥陀堂と堂境域、仏像を調査する予定だ。
再開の見込みが立ったことで、関係者に限らず地域住民からは喜びの声が上がっている。赤土隆興副住職(38)は、復旧作業に尽力した多くの協力者に感謝の気持ちをにじませながら、「(惨状から)ここまでこれたことを心からうれしく思う。再開した際にはいままで通り、仏さまを拝みに来てほしい」と話していた。