豪雨1カ月 内田市長「寄り添った支援を」避難意識検証へ 市サーバー増強
いわき市を襲った台風13号に関連した記録的大雨は、8日で発生から1カ月を迎える。2019(令和元)年の東日本台風の経験を踏まえ、災害対策を柱に掲げる内田市長は、いわき民報社のインタビューに応じ、「平時から各課や職員の動きを明確にすることで、発災から3日でり災証明書の発行や、ボランティアセンターの開設、災害廃棄物の仮置き場設置がかなった。大雨から1カ月が経過する中で、被災した一人ひとりに寄り添った支援を続けていきたい」と語った。
大雨に見舞われた9月8日は、雨が小康状態の午後3時に、警戒レベル3の「高齢者等避難」が発令された。ただ多くの市民が不安を感じた時刻は、初の線状降水帯が発生した同7時39分とされ、内田市長も「早い時間に高齢者等避難を出せ、避難所の開設情報も伝えられた点は良かった。しかしリアリティーがあったかという点で、市民の意識に関しては検証が必要」と指摘する。
午後8時40分に宮川と蛭田川に対して、最も高い警戒レベル5の「緊急安全確保」が出ると、市では次々に複数の河川で対応に追われ、同9時40分に市内全域にまで広がった。
市ではホームページを通じて、これら情報を発信したが、サーバーにアクセスが集中し、閲覧不可な状況に陥った。内田市長によると、当時は同時に800件のアクセスが重なると、パンク状態となったため、現在は1200件まで増強した。「1秒でもずれると問題ないとされるが、アクセスが集中する対策に向けては、他の中核市の取り組みを聴いており、今後に生かしていきたい」と述べる。
自らは「災害死ゼロ」を掲げているが、今回の豪雨では内郷地区で死者1人が生じた。避難中に亡くなったとされ、「大変残念なことであり、次は必ずゼロにすると誓っており、職員とも改めて共有している。災害対応が落ち着いた後に、当時の状況について事例を集めていく」と話す。
り災証明書は5日現在、申請数2027件、調査数1734件、発行数1653件。現状で落ち着きを見せてきている。ボランティアセンターの受け入れは、延べ3689人で、7~9日の3連休も要請が続く。災害廃棄物の仮置き場受け入れは9日をもって終わる。
現時点での被害は県・市の推計で、農業が約15億円、公共土木施設が約39億円、中小企業関係が約10億円の合わせて約64億円とされるが、さらに増える見通し。算定を進めて、国に激甚災害指定を求めていく。
発災直後から積極的に被災地に入っており、住宅提供や財政的な支援に取りこぼしがないよう、市と市社会福祉協議会で個別訪問も進めている。その上で次の記録的大雨を想定する重要性から、内田市長は「総合防災訓練をはじめ、平時から備えをして、次の豪雨に向けた取り組みを強化したい」と誓った。