上流から流れてきた? いわきの海岸に散弾銃実包 豪雨後の清掃で見つかる
台風13号に伴う記録的な豪雨被害により、市内の海岸では河口を中心に大量の流木や木くず、生活ごみが漂着し、地域住民を悩ませている。市民ボランティアなどが精力的に海岸の環境改善に汗を流す中、数百にも及ぶ単2乾電池ほどの大きさのプラスチック製品が各所に散らばっているのが見つかった。
製品は狩猟やクレー射撃で生まれる廃棄物の「ワッズ」。上流から流れ着いたものとみられ、発見した市民団体「いわきフェニックス」の小山洋代表(51)によると、東日本大震災後から散見されており、「漂着し環境を汚していることを、まず認識してもらうことが大切」と呼び掛けている。
発見したのは、東日本大震災後から、子どもたちのケアを軸に支援活動に取り組む市民団体「いわきフェニックス」。同団体は現在、「いわきの海をきれいにし、子どもたちに自慢できる海を残そう」と、県内外の賛同者とともに震災翌年から毎週日曜日、〝ゆるりとゴミ退治〟と題して海岸の清掃を続けている。
清掃は今月8日で367回。散弾実包の一部品「ワッズ」(弾と火薬の間でクッションの役割を果たすプラスチック)は活動当初から拾われ、大雨や台風時に大量に漂着するゴミとしての認識されていたが、これまで正体については分からずじまいだった。
注目するきかっけとなったのは、市内各地に大きな爪痕を残した台風13号に伴う記録的豪雨。9月17日に活動を行ったところ200個ほど見つかり、翌週は105個、1日には30個を回収した。あまりの多さに疑問を感じ調べたところ、ワッズと判明したという。
市内では2020(令和2)年以降、減少傾向にあるものの、震災後、害獣駆除としてイノシシの捕獲件数が一時的に増加した。散弾銃はとどめを刺す際にしか使わないというが、神奈川県などでは狩猟区の河口に漂着して問題視されていることなどから、ワッズの漂着が増加した要因のひとつに狩猟や駆除活動を指摘する声も。
ただ業界関係者などによると、弾を撃った後の薬きょうは遠くて20mほど飛ぶため、山野での狩猟で回収するのは現実的に難しい。一方、ワッズが大量に出る射撃場について、全日本指定射撃場協会では管理・回収などの徹底を会員らに啓発しており、「射撃場から外に出るのは考えにくい」とされる。
小山代表は害虫駆除や狩猟、クレー射撃など趣向的な活動を否定することはもちろん、「犯人捜しをするつもりはない」ときっぱり。独自にSNS(交流サイト)などで現状を発信するとともに、仲間と協力して行政をはじめ関係各所に呼び掛けを行い、「まずは認識してもらうことが大切だ」と強調している。