新常磐交通 来年4月にいわき市内15路線廃止へ 運転手不足や減収背景に
新常磐交通(明治団地、高野公秀代表取締役社長)は18日、来年4月の春のダイヤ改正で、現在運行している一般路線バス15路線を廃止する事業計画を示した。運転手不足と、不採算路線の維持が厳しいことを理由とし、主に入遠野、菊田小など、中山間地域などの路線49・58kmが対象で、過去最大の規模となる。
市街地や通学への足がなくなる地域もあり、入遠野地区のバス停付近の住民からは「診療所なども回るバスなので、車のないお年寄りには不便になると思う。代わりの交通手段について行政で検討してほしい」と対策を求める声も上がっている。
同社では、運転手の退職者が相次ぐ一方、低賃金などにより新規採用の確保が難しく、運転者数はコロナ禍前の2019(令和元)年度の168人から138人まで減少し、通常運行を保つためには現状で30人ほどが不足し、ダイヤ改正後も15人足りないという。
さらに高齢化も顕著とされ、定年者の再雇用も含めて60歳以上が半分を占めており、平均年齢は58歳という。加えて、コロナ禍や少子化に伴う利用客の激減、原油高を背景とした燃料費の高騰などに伴い路線バス経営は大きな打撃を受けており、昨年度は約2・5億円の赤字を計上。赤字路線を高速バスなどの内部補助で維持することが困難な状況となっていることから、大幅な削減を決断した。
今回の廃止により、系統数は133から69、便数は平日が693本から623本、土日・祝日は342本から225本に減少する。スクール系統は43から20の半数以下にまで減り、平日1日あたりの利用者1万人のうち、約3千人に影響が生じる見込み。
18日の記者会見で、門馬誠常務取締役は苦しい台所事情を説明し、「路線バスを第一に考え、市民の足を確保しようと、総力を上げて守ってきたが、断腸の思いで市民の皆様におわびしかない」と声を絞り出し、路線バスを守るためにも市民に理解を求めた。
廃止される路線は次の通り。
▽平―谷川瀬▽平―好間中―榊小屋▽平―平工―中央台―玉川―小名浜▽平―若葉台▽平―鹿島―洋向台、平―鹿島SC―洋向台▽中央台―飯野―高専前―医療C―内郷、中央台―飯野―高専前―一高―医療C―内郷▽湯本―桜ケ丘、湯本―桜ケ丘―田場坂▽湯本市内循環(内・外)▽湯本―遠野高校▽上遠野―大平―入遠野、上遠野―川畑―入遠野▽菊田小―鳳城、菊田小―万治、菊田小―南台、菊田小―井戸沢▽小名浜―江名―西原―光洋高校▽泉市内循環▽(急行)泉―イオンモール▽植田―磐農―勿来工業