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小名浜の米問屋・相馬屋 楢葉にパックご飯工場竣工 相双の営農再開後押し

 小名浜大原の米問屋・相馬屋(佐藤守利代表取締役)は26日、双葉郡楢葉町の楢葉南工業団地で、パックご飯製造工場の竣工(しゅんこう)式と内覧会を開催した。パックご飯製造工場は、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故で被災し、復興途上の相双地方などの営農再開を後押しする狙いがあり、3年以内に東南アジアや米国への輸出も予定する。
 工場の整備にあたっては、市町村を越えて、広域的に農産物生産と流通・加工等が一体となった取り組み「県高付加価値産地展開支援事業」を活用した。
 パックご飯には、相双地方など12市町村で収穫された県オリジナル米「天のつぶ」が採用されている。1時間で約8千食を製造することが可能で、初年度は月に79万2千食を手がけ、3年以内には月に183万9千食を目指していく。
 製造に際しては単なるレトルトではなく、無菌化包装米飯にこだわっている。同社によると、短時間の蒸気による殺菌処理に続いて炊飯し、クリーンルームで密封することで、ご飯のおいしさを最大限に引き出せるという。
 コメの消費が落ち込んでいる中で、パックご飯の需要は年々高まっている。食品需給研究センターによると、昨年に生産されたパックご飯は24万5811トンと過去最大を記録し、この10年で約2倍となっている。
 震災を受けた備蓄の高まりに加え、新型コロナウイルスの感染拡大によって、買いだめする人が増えたことが背景にあるとされる。特にレトルトよりも、無菌包装米飯が人気となっている。
 同社は販売先として、商社や量販店、ふるさと納税の返礼品、道の駅、アンテナショップを想定しており、早ければ12月中にも店頭に並ぶ。また相双地方の災害備蓄品にも導入してもらう。
 竣工式では、佐藤社長が「被災地の営農復興を柱に、一丸となって安全でおいしいパックご飯を製造する。風評払しょくにもつながってほしい」とあいさつした。楢葉町の松本栄樹副町長、森雅子参院議員、高橋光男・農林水産政務官らが祝辞に立った後、パックご飯の工場稼働を祝したテープカットが行われた。

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