内郷地区の雨水対策事業 金坂第二排水路は3年前倒し 既存計画も推進へ
内田市長は28日、定例記者会見を行い、9月の台風13号に関連した記録的大雨を踏まえ、浸水被害の影響が大きかった内郷地区の雨水対策事業について、今後の方針を発表した。金坂集会所や宮保育所前の市道に整備する「金坂第二排水路」に関しては、2022(令和4)~27年度の事業期間を予定していたが、3年前倒しして、24年度に完了する計画を明らかにした。
金坂第二排水路は、内郷内町金坂―内郷宮町金坂の市道に沿った405mで、豪雨時の冠水被害緩和を狙いとしており、既存排水路のバイパス機能を持つ。本年度までの2カ年で、南側124mにU型側溝を設けている。来年度は残り281mで、箱型の鉄筋コンクリート製構造物・ボックスカルバートを埋設する。収容能力は1時間当たり約1600立方mで、25mプール4杯分に相当する。
新たな排水路の北端では、既設水路と合わせ、水の流れが2つに分岐させ、それぞれから宮川に流れ込むようになる。事業費は6600万円。12月7日開会予定の市議会12月定例会に、市が関連する補正予算案を提出する見通し。
また現行の取り組みとしては、内郷二中の西側に位置し、市が管理する金坂川で、来年度まで2カ年の河川改良事業を進めている。県管理の宮川の護岸かさ上げに伴い、約60mにわたって、金坂川の両側を最大で120cm高くする。
これら事業に対し、内田市長は「本年度から進めていたが、9月の大雨に間に合わなかったことは残念」と振り返り、排水路等から水があふれる「内水氾濫」の状況も含めて、必要な検証を進めていくことを改めて強調した。
県が管轄する新川、宮川は、来年3月までに今回の大雨による堆積土砂の撤去が行われるとし、「市民の命を守るため、流域に合わせて拡幅や掘削を求めていく」とも語った。
市ではこのほか、21年度に国の雨水対策を巡るガイドラインが改定されたことで、9月の豪雨前から、内郷地区の地下に雨水貯留施設の新設を検討しており、本年度から基本設計に入る。雨水が下水道や河川に入る量を抑制する仕組みで、いわき市では初の設置となる。
天上田公園(内郷御厩町)、馬場児童遊園(内郷綴町)の地下が候補地で、導水管を県道いわき・上三坂・小野線に沿わせる。1時間当たり52・1mmの降水量に対応し、約5000立方mの雨水が貯留できる。