エフレイによる地域振興 いわき市 年明けにDeNAと防災教育取り組む
今年4月に双葉郡浪江町に整備された「福島国際研究教育機構」(F―REI、エフレイ)による地域振興を目指し、浜通りの自治体と民間企業が連携する実証事業の一環として、いわき市は来年1月にも、IT大手のディー・エヌ・エー(DeNA)=東京都渋谷区=と、防災をテーマに子どもたちに向けたワークショップを企画し、プログラミングなどの先端技術を提供していく。いわき市が「人づくり日本一」を掲げる中で、DeNAの知見を生かし、防災教育の充実を図っていく。
エフレイは、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故からの復興に向け、ロボットや農林水産業、エネルギー、放射線科学・創薬医療、原子力災害を重点分野に設定。政府は設立から7年間で、国内外の研究者数百人の招へいを目標としており、「世界に冠たる『創造的復興の中核拠点』」を標ぼうしている。
こうした点を背景に、復興庁では先進的な取り組みを進めることで、移住する研究者にとって、暮らしやすい環境を実現させる。実証事業は「浜通り復興リビングラボ~サイエンス×官民共創まちづくり~」と銘打ち、8月から9月にかけて、民間企業から提案を受け付けた。
DeNAは実証事業にあたり、ICT(情報通信技術)教育の推進と、子どもたちへの先端教育の提供を掲げた。さらに災害時に備え、安心・安全を確保するための解決策を提案するきっかけ作りとして、ICTによる新しいまちづくりを展開していく。
主な内容としては、中学校と連携し、プログラミングやAI(人工知能)、電子取引に使われるブロックチェーン(分散型台帳)など、多くの先端技術について学んでもらう。
こうした活動は全国各地でDeNAが行っており、過去には農作物の収穫効率化や、建築現場での転倒を検知するアプリといったアイデアが、子どもたちから生まれているという。
今回は防災教育の観点から、3D(3次元)ソフトを操作し、避難場所までの誘導等の情報について、AR(拡張現実)で表現する。特にVPS(ヴィジュアル・ポジショニング・サービス)と呼ばれる位置特定システムを盛り込み、より簡単に閲覧できる仕組みとしていく。
平時には子どもたちのアート作品を展示し、普段から市民に身近な存在としつつ、災害時には視覚的な誘導が可能になることに理解を深めてもらう。
復興庁によると、現時点で計画されている実証事業は7件(民間企業9社、9市町村)。