アクアマリンふくしま オオメンダコの展示日数更新 流行魚1位の人気者
小名浜のふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」は12日、飼育する深海生物のオオメンダコについて、展示日数が国内最長記録を更新し、143日を迎えたと発表した。同館では2014(平成26)年からオオメンダコの飼育・展示に取り組んでおり、従来の記録は同館による17年の142日だった。
オオメンダコは、北海道から茨城・鹿島灘沖の水深450~1200mで分布が確認されているが、生きている状態での水揚げはまれで、飼育例もほぼないという。同館には年間に多くて数件の搬入があるが、展示できる期間は10日程度で、50日を超えることは難しかった。
今回の個体は7月19日、北海道・知床羅臼沖で同館に協力する漁師によって、刺し網漁で取られた。オスとされ、大きさは40cmあまり。状態が良かった上、すぐに同館に引き渡された幸運にも恵まれ、同23日から展示が開始された。
同館によると、国内最長記録を更新した背景には、給餌棒の使用に成功し、オオメンダコが深海で食べるヨコエビのみならず、飼育員が幅広いエサを与えられるようになった点が挙げられる。
飼育担当の日比野麻衣さんは「いろいろなデータが蓄積していくので、まさにここからがスタートと言える。展示記録の更新は通過点であり、今後も試行錯誤しながら、一つ一つの知見を積み重ねていきたい」と力強く意気込む。
また、今年最も話題性の高い同館の生き物を決定する「流行魚大賞2023」で、オオメンダコには「動きがかわいい」などの意見が寄せられ、投票では2位に倍以上の差を付けて、見事1位に輝くほどの圧倒的な人気者でもある。
「ぜひ多くの方にその姿を見ていただきたい」と日比野さん。本館2階の親潮アイスボックスに展示されている。