9月豪雨の被災者に寄り添って 内郷地区で「ふくみちゃんカフェ」展開中
今年9月の台風13号に伴う記録的豪雨で、内郷地区を中心に甚大な被害が発生し、3カ月が過ぎた。被災地ではハード面の支援が進められているが、東日本大震災、東日本台風と同様、被災者の悩み事や相談、要望に耳を傾けるコミュニティの形成が求められている。
東日本台風を機に生まれた民間の支援組織「災害支援ネットワークIwaki」では、内郷の被災地で「ふくみちゃんカフェ」を10月から展開し、被災者の〝心の支援〟に尽力。災害対策本部、災害ボランティアセンターの閉所後も、住民や被災者が気軽に集える場を提供することで、地元の人たちの心に寄り添っている。
災害支援ネットワークIwakiは2019(令和元)年の東日本台風が発生した際、被災地で活動支援していた個人や団体、行政、被災者の情報を結ぶために作られた民間組織で、翌20年に設立された。
代表を務めるのは、阿弥陀寺(内郷御厩町)の副住職で、浄土宗の僧侶が中心となって活動している訪問移動カフェ「浜〇=まる=かふぇ」に携わってきた馬目一浩さん(51)。震災後から市内の仮設住宅や雇用促進住宅で、被災者の傾聴や情報交換に努めてきた。
「ふくみちゃんカフェ」はさまざまな復興支援活動を下地にし、同ネットワークが地区の町内会や市、市社会福祉協議会、いわき水害技術系アライアンス、浜通り法律事務所の協力を得て、地域との信頼関係を築きながら、10月から内郷の被災地各所で継続的に開催してきた。
当初は浸水などによって床下に土砂が入り込んだ民家などの保全、復旧に向けた法律相談をはじめ、被災者の将来への不安の相談に受け答える傾聴サロンとして行われていたが、11月からは地域のニーズを拾い上げ、行政や協力団体の支援につなげる態勢づくりに変化しつつあり、現在は火、木曜日をベースに各地域の実態に沿うよう、内郷の集会所などで実施しているという。
今月の第1回となったカフェは12日、内郷綴町老人福祉センターで開かれ、馬目さんや市社協の職員らが来場者を迎え入れ、業者の杜撰(ずさん)な建築による住宅の災害対策の不備、浸水被害を受けた集会所の維持に向けてどうしていくかなど、さまざまな相談に対応した。