平沼ノ内の奇祭・水祝儀 花婿冷水浴びる「家庭円満・健康第一を」
平沼ノ内地区で400年以上続く伝統行事で、市無形民俗文化財の「水祝儀」が8日、沼ノ内公民館の愛宕地蔵尊で執り行われ、住民たちの今年1年の無病息災と地区の豊作、港町として漁業も盛んなことから関係者の豊漁と安全を祈願した。
水祝儀は、額に〝ダイコバン〟と呼ばれる魔除けの墨を付けた初婿が、極寒の中、浴衣1枚で水を掛けられるという奇祭で、別名「水かけ祭り」とも。かつては旧暦1月15日に行われていたが、現在は成人の日に斎行されている。
今年参加したのは、結婚2カ月という会社員の新妻頌仁=のぶひと=(28)さんと、会社員の志賀硫太さん(30)、新潟県長岡市の支援学校教諭で新潟市から帰省していた大和田裕貴さん(32)の3人。志賀、大和田さんは結婚3年目だが、地区の少子高齢化などを背景に、特別に参加した。
3人は地蔵尊でダイコバンを押す墨祝儀を終えると、地蔵尊を正面に、公民館駐車場に準備されたササ竹としめ縄で囲まれた土俵へ。〝桶取り〟と呼ばれる地区の青年会メンバーが水を入れた桶を肩に担ぎ、じらしながらゆっくりと土俵の4隅に集い、3度にわたり足、腰、頭の順に水を思い切りかけた。
当日は今年1番の寒さで、掛けた水がその場で凍るほど。3人は寒さに震え耐えながら洗礼を受けた後、短冊をつけた縁起物のササ竹を担いで地区の諏訪神社に。境内を3度周り、諸願成就を祈願した。家庭円満、健康第一を願いながら行事に臨み、新妻さんは「清々しい気持ち」と笑顔を見せ、妻を傍らに「家を守っていきたい」と誓っていた。