草野心平記念文学館 弟・天平のスポット展 滋賀・松禅院での詩作テーマに
小川出身の詩人草野心平の7歳年下の弟(三男)で、1952(昭和27)年4月に42歳の若さで逝去した詩人草野天平のスポット展「草野天平 松禅院での詩作」が3月31日まで、市立草野心平記念文学館の常設展示室前で行われている。
天平は1910(明治43)年2月、東京・小石川区(現文京区)に生まれた。幼少期を石城郡上小川村(現・小川町)で過ごしたが、上京後、京都、群馬での暮らしをへて、1933(昭和8)年、東京・銀座に喫茶店「羅甸区(らてんく)」を開いた。
その後、出版社などで勤務。早くから詩に傾倒していた心平とは対照的に、41年ごろから詩作を始め、47年に詩集「ひとつの道」を刊行。50年に滋賀県大津市の比叡山・松禅院へ入居し、亡くなるまで詩作にふける生活を送った。
没後、妻梅乃を中心に顕彰活動が続けられ、刊行された「定本 草野天平詩集」は1959(昭和34)年の第2回高村光太郎賞・詩部門を受賞。その後、全詩集など生前の作品が刊行され、天平の評価が高まった。
今展では、晩年を過ごした松禅院での生活を綴った「比叡山記」、天平の傑作と名高い「弁慶の飛び六法 勧進帳を観て」=後に比叡山西塔に詩碑を建立=の直筆原稿、姉京子とその夫与平、心平の長男に送った書簡のほか、代表作のひとつ「真珠」「河」の直筆ノートなど、詩作にかける情熱が垣間見れる貴重な資料群が、写真パネルとともに飾られている。
「ひとつの詩を何ページにもわたり推敲しているノートも多く、じっくりと詩作に臨んでいた天平の人となりがうかがえる」と学芸員の馬目聖子さん。開館時間は午前9時~午後5時。休館日は月曜。