自主防災組織 来年度は独自訓練77% 研修会で方針決定、専門家と討論も
いわき市は地域防災力を向上させるため、独自に年1回以上の訓練を実施する自主防災組織について、5年後までに100%にすることを目指している。本年度は67%で、前年より10ポイント上回った。来年度は100%の達成に向け、さらに10ポイント向上させ、77%を目標とし、日頃から地元と連携した活動に努めていく。
この方針は14日、市文化センターで開かれた研修会で、出席した市内各地の自主防災組織関係者らと一緒に決められた。内田市長は「高い目標を設定することで、共に頑張っていきましょう」と呼びかけた。
研修会は年1回、市が掲げる「逃げ遅れゼロ・災害死ゼロ」の実現に向けて行われている。市内の自主防災組織役員や、同組織未結成地区の住民代表、登録防災士、女性消防クラブメンバーら、約200人が出席した。
本年度は東北大災害科学国際研究所の柴山明寛准教授、福島テレビ専属気象予報士の斎藤恭紀氏による講演に続き、内田市長、中好間自主防災会の鈴木久典会長、市女性消防クラブ連絡協議会の遠藤和子会長を交え、防災活動のあり方をテーマに討論した。
討論では、鈴木会長が2019(令和元)年の東日本台風で好間川が決壊し、地域が浸水したことをきっかけに、再び自主防災組織が活発化したと説明。かつては水害が起きない土地と思っていたと明かし、現在は好間中の防災教育にも協力していると述べた。
柴山氏は「自分の災害経験から、どうしても人は起こりうる災害のマックスを決めてしまう。子どもから、意識を変えていくことは大切である」とたたえた。
遠藤会長は自らの高齢者見守りや街頭啓発等の活動を披露した上で、自主防災組織などの活動が、あまり地域に知られていないと指摘し、若い世代が参加しやすい環境を構築すべきと説いた。
斎藤氏は広く防災に触れる例として、「鳥小屋やどんど祭と消火訓練を組み合わせたり、夏祭りにブースを設けたりするのはどうか。年末の餅つきに合わせ、炊き出しの訓練をするのもいい」と提案し、いつもの催しの中で浸透させていく考えを伝えた。
研修会の様子は、市公式動画チャンネル「iTube」で公開予定。