アクアマリン 日本海にコトクラゲ生息突きとめ論文発表 新潟・佐渡で
小名浜のふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」は18日、深い海にすむ竪琴のような形の「コトクラゲ」について、日本海(領海内)での生息を初めて突きとめ、論文として発表したと明らかにした。国内では、東京湾口部から沖縄県にかけての太平洋でのみ確認されており、発見場所は新潟県佐渡海峡のため、併せて生息域の北限も更新された。
2018(平成30)年9月、新潟市水族館「マリンピア日本海」と共同で、アカムツの生態調査を行っていた際、偶然その姿をとらえ、2022(令和4)年6月に初採集に成功した。
論文はアクアマリンふくしま、東京大大学院理学系研究科附属臨海実験所、マリンピア日本海の計6人で執筆され、学会誌「日本生物地理学会会報第78巻」(昨年12月20日発刊)に掲載された。
発見した際は、遠隔操作型無人探査機(ROV)で、水深100~200mを調査していた。筆頭著者のアクアマリンふくしま上席技師・山内信弥さん(49)は「『あれは見たことがある生き物ではないか』と思った。とても驚かされた。アカムツはなかなか見つからなかったのに……」と笑顔で振り返る。
コトクラゲは1941(昭和16)年、昭和天皇が神奈川県・江の島の沖合で見つけ、翌42年に新種登録されたことで知られ、学名にインペラトリス(皇帝)の名が付けられている。潮の流れの速い場所で、櫛の歯状の2本の触手を長く伸ばし、粘着性物質を分泌することで、海中の動物プランクトンを捕獲する。
体色は橙(だいだい)や黄色、白、白地に赤色の水玉模様などバリエーションが豊富で、必ずしも親と同じになるとは限らない。水深80~230mにすんでおり、生まれて約3カ月は浮いているが、やがて岩場などに固着する。
本館1階「海・生命の進化」コーナーでは、昨年に新潟県佐渡海峡で採集した1個体を展示している。同じ水槽には、昨年11月に静岡県駿河湾で取った1個体もいる。山内さんは「コトクラゲは触手を伸ばして移動するので、運が良ければ見られるかもしれません」と話している。