能登半島地震 いわき市の消防士有志が被災地へ 震災以降のノウハウ踏まえ
石川県能登地方などを中心に家屋の倒壊など大きな被害をもたらした能登半島地震から3週間がたった。災害発生直後の緊急対策が終わり、住民の2次避難がスタート。刻一刻と環境が変化する被災地で、柔軟な対応を見せて活躍するのが、東日本大震災以降の災害支援で経験とノウハウを蓄積したNPOなどの民間組織だ。
小名浜消防署主任の新妻拓弥さん(32)、常磐消防署主任の小島巧也さん(36)は、こうした経験豊富な民間団体と連携しながら、11、12日には新潟県新潟市、17、18日には石川県輪島市に赴き、高所作業や危険業務に長けた〝技術系災害ボランティア〟として初動を支えた。新妻さんに話を聞いた。
――新妻さんは今回公務でなく、ボランティアとして現地入りしている。消防士のボランティア活動について教えてほしい。
いわき市の消防士が「技術系災害ボランティア」として本格的に活動を始めたのは、昨年9月の台風13号による水害発生がきっかけ。チェーンソーや重機の操縦訓練を受けている消防署員たちが、「DRT JAPAN」という災害支援の精鋭化を掲げるNPO団体と連携して現地で活動し、今後も職務の枠を超えて活動を続けていこうとグループ化しました。
災害支援ネットワークいわきの一員として約10人の消防職員が在籍し、市社会福祉協議会やほかの民間ボランティア団体とともに活動しています。
――輪島市では具体的にどんな作業にあたられたのか。
現地であがっていたニーズは主に4種類。1つ目は倒壊した家屋からの車の持ち出し、2つ目は銀行通帳や印鑑、現金等の貴重品の持ち出し、3つ目は生活再建を妨げる重量物の移動、4つ目は道路啓開です。
避難生活の長期化に備え、移動のための車や貴重品を、危険な自宅から持ち出してほしいという声が多かったです。ご本人が書いたリストをもとに、倒壊した家屋から一品ずつ探してお届けしました。
チームを組んで1台の重機で倒壊家屋を引き上げ、もう1台で車をけん引して取り出すなど、技術力を生かして数台の車を救出することもできました。今後もこれまで築いたネットワークをもとに、継続的にかかわり、私たちが東日本大震災や水害で蓄えた知識と専門技術で、サポートしたいです。