路線バス廃止・減便計画 いわき市の補助で来年度5カ所で継続へ
新常磐交通が4月のダイヤ改正に合わせ、運転手不足とコロナ禍による減収を背景に、路線バスを廃止・減便する計画を受け、市は来年度予算で新たに1886万1千円の補助を出し、通学等に影響の大きい5カ所で路線を維持する方針を決めた。内田市長が8日、来年度当初予算案に関する記者会見で公表した。
維持されるのはいずれも平日の平―好間、平―江名、泉―江名、平―湯本―湯本市内循環、菊田小で、主に運行している路線を延長する。
平―好間は、平―隅田川系統の増強で需要をカバーし、好間中や好間高の通学の利便性を図る。平―江名、泉―江名は回送便を活用し、中央営業所(鹿島町上蔵持)を起点とする新たな系統も設け、豊間小・中の通学や沿岸部の住民に使ってもらう。
平―湯本―湯本市内循環は、利用者の多い平―湯本に循環部分を加え、いわき湯本高の通学や湯本市街地の居住者に対応していく。菊田小に関しては、上遠野―植田間のバスのダイヤ、系統を工夫することで、子どもたちの通学に影響しないようにする。
内田市長は「新常磐交通の英断には感謝している。ただ、いわき市は公共交通の利用が少ない現状にあり、存続に向けては市民の皆さんに積極的に使ってもらう必要がある」と呼びかけた。
その上で今後も中山間地や公共交通空白地域で、移動手段の確保が図れるよう、地域住民や行政、事業者が連携しながら、地区ごとのニーズを踏まえた交通手段を設定し、2026(令和8)年度までに解決する意向を改めて示した。
路線バスの廃止・減便については、市に対して見直しを図るよう要望が寄せられていた。
県校長協会いわき支部の柳沼英樹支部長(磐城高校長)は「維持について再検討し、決断してくださったことをありがたく思う。廃止、減便する路線を使って通学する生徒は多いので、市には影響を最小限に収める施策を、新常磐交通には将来的な廃止路線の復活を引き続き検討してほしい」と語った。
菊田小の小堀哲也PTA会長は「路線維持に尽力いただいた新常磐交通と、市長はじめ関係者の方々に対し、厚く御礼申し上げます。既存路線と変わる部分や、保護者負担などの問題もあるとは思うが、少しずつ解決できたら」と話している。