いわき市の来年度予算案 主要事業に迫る<5>市内外で常磐ものアピール
【IV.豊かさを創る】1.産業 変化に強い企業づくりと産業界が求める人財の育成・確保
来年度予算では、地元産業を支える市内企業も後押しする。いずれも新規事業で、さらなる生産性向上に向けた「事業リノベーション促進事業」に1750万1千円、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)との連携強化に852万5千円、脱炭素を推進する人材育成支援に300万円を計上した。
市が昨年3月、日本数学検定協会、データミックスと交わした連携協定に基づき、専門的なノウハウを持つ企業人材も育成する。予算は273万9千円。
さらに「いわき次世代経営者塾」を開催し、次世代の経営者に対するスキル向上や意欲喚起、未来を考える機会の提供する事業に286万2千円を付ける。
子どもたちに向けた「サイエンスジュニアひとづくり事業」の300万円では、デジタル技術を活用した分野での活躍を期待する。
2.農林水産 持続と自立が可能な「稼げる一次産業」の推進
東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水について、昨年8月から始まった海洋放出では中国の禁輸措置を除いては、大きな影響は出ていないが、いわき市産品の魅力をより伝えていく必要性はある。
いわき市が誇る「常磐もの」のブランド力も強化する。新たな発信事業に2000万円を投じ、首都圏飲食店を活用したプロモーション、バイヤーと連携した販路開拓などを企画する。
魚離れが進む若い世代の興味・関心を深める事業として、漁港や加工場の社会科見学や、魚のさばき方教室を含めた「海の魅力!いわき浜っ子総合学園事業」も継続し、535万6千円とした。学校給食にも常磐ものを提供し、2474万3千円の事業費で来年度は年9回を予定する。
林業に対しては、担い手確保育成支援事業に1億625万9千円を盛り込んだ。来年度からは森林認証取得等支援を補助対象に追加する。
農業振興に関して、コメ生産への機械導入や、オリジナル品種の産地育成に対する経費補助に3378万5千円とし、来年度はネギも対象としていく。福島大食農学類との連携推進事業も続け、305万円の予算措置で農業を取り巻く課題を図る実証事業にも挑む。
いわき市独自の「農業生産振興ブランド戦略プラン」に合わせ、5480万円を充て、農産物の生産力促進や販路拡大、スマート農業の推進など生産振興を引き続き展開する。