かつて自身が手掛けたベストセラー再訳が話題の作家五木寛之さん。最近ご無沙汰しているが、初期作品は好きで読んでいた。中学時代、手にした『青年は荒野をめざす』がきっかけだった▼東欧諸国が未知のベールに包まれていた昭和42年の発表だが、読んだのは10年後。ジャズを志す主人公が単身、極東ナホトカから陸路、空路を経てモスクワ、ストックホルムなどを旅し最終地ニューヨークに向かう▼ジャズを通じ、異国で体験する邂逅などが主人公の生き方に影響を与えていく物語。読後、ひとり旅に憧れたことは言うまでもない。国内外を問わず、若い時期の旅は何か得るものがあろう▼東日本大震災を機に始まった「海外ホームステイプログラム」の壮行会が先日行われた。いわき市内の高校生5人がアイルランド、カナダ、ニュージーランドに赴き震災支援のお礼と現状報告、異文化の理解に努める。大いに見聞を広め、若い感性を磨いてほしい。