今年も夏の甲子園をめざす高校野球福島大会が開幕した。開会式で選手宣誓を務めたのは福島高専の斎藤大輝君だ▼若貴兄弟が横綱昇進時の口上で述べるような〝百錬成鋼〟〝英姿颯爽〟という難しい4文字熟語を引用。どんな漢字なのか記者たちを慌てさせた斎藤君は「(国立で5年制の)高専らしく少し堅くしようとインターネットで調べてみました」と笑った▼ある記者が「被災地への言葉が入ってなかったけど」と問うた。例の『被災した人たちに勇気と元気を』が入ってなかったのが意外だったらしい。斎藤君は少し表情を変えた。「それも頭にはありましたが、あえて言わずに、前向きな言葉にしたんです」▼いつまでもそんな言葉を繰り返してたら、後ろ向きな流れが続いてしまう。ちなみに、斎藤君が住む田人地区でも4・11大地震の土砂崩れで4人が犠牲になった。悲惨な出来事を忘れず、それでも前を向いて生きていく。若者らしいいい選手宣誓だった。