往年の名女優ローレン・バコールさんの訃報が伝わってきた。89歳だという。思えば84年に自伝『私一人』(文芸春秋刊)を出版した際、来日。映画評論家と対談するテレビを見たことがある▼話の内容は忘れてしまったが、対談後出演作が放映された。のちの伴侶となるハンフリー・ボガートと出会ったデビュー作「脱出」、結婚後の共演作「キー・ラーゴ」の2本。モノクロながら見ごたえのある映画だった▼死別したボガートと年の差は25歳。1男1女に恵まれるも、結婚生活は12年と短いものだったが、自伝を読む限り充実した時をすごしたようだ。夫のアフリカロケにも同行、アカデミー主演男優賞受賞に貢献している▼その後、再婚と離婚を経たがスクリーンでの活躍は続いた。その1つに「オリエント急行殺人事件」がある。イングリッド・バーグマンとの共演もさることながら、ある目的を胸に秘めた家族の支柱的役柄も名演技だった。その死を悼み再び見たいものだ。