「小さな町の田んぼの中に、国内外屈指の音響を誇る音楽ホールがある」とうわさに聞いていた宮城県北西部にある加美町の「バッハホール」を見学してきた▼設計にはNHK総合技術研究所が携わり、さまざまな楽器や演奏曲目に対応して最適な残響時間が得られるよう可変式の壁などが採用されている。完成したとき作曲家の芥川也寸志は「おそらく、わが国で望み得る最良の響きをもつ演奏会場」と称賛した▼アリオス中劇場ほどの広さの音楽ホールができたのは昭和56年。今から33年も前のことだ。合併する前の人口1万数千人の田舎町に、飛びっきりの施設を造ることにした当時の町長や議会、住民たちの音楽・文化に対する意識はいかばかりだったか▼国内外から一流の楽団や演奏家が訪れるようになり、町の管弦楽団も結成された。子どもたちにとってはあこがれのステージだ。CDやレコードのコンサートも行われるという。今度、演奏会で訪れたいと思う。