2年前、市立いわき総合図書館が編集・発行した『映画に刻まれたいわき』。大正から平成まで、いわき各地でロケを敢行した映画の題名、出演者、撮影場所が記された労作だ▼当初は各公共施設に置かれていたと思うが、すでに残部はないだろう。最近、あるところで前回より8作品を加えた補完版を入手した。目を通すと、昭和11年「祐天上人一代記」ほか、今年封切られた「彼岸島」「BOX―袴田事件」があった▼一連の映画で興味があったのが同43年に梅宮辰夫、野川由美子さんが平駅でロケを行った「盛り場ブルース」。CS放送で流されると分かり、視聴したが期待する場面は作品の後半に現れた。夜の撮影と分かる薄暗いホーム、改札口、そして翌朝、駅舎全景のカット▼作品に占める割合は短かったものの商店、銘菓の看板に懐かしさを覚えた。当時とすっかり雰囲気の変わった現在の駅界わいだが、新デッキでのワンシーンも映えるかもしれない。
片隅抄