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片隅抄

2015.02.23

雨水も過ぎ、南の地方では春一番が吹いたと聞いた。今日は当地も暖かい。が、余寒の厳しかった先日、氷雨降る庭に水仙が咲いているのを見つけた。風もある中、まっすぐに立った茎の先の小さな花に、生命の底力を見た気がした▼咲く花により季節を感じることは多いが、春には黄色い花が多いという。花全体では白色が3分の1を占めるが、春の花の約半分は黄色とか▼春というと桃や桜などピンクのイメージがあるが、水仙や福寿草、ロウバイなど、寒中にいち早く咲き、次なる春の訪れを知らせる花は、確かに黄色系が多いかもしれない。その理由は一説によると「花粉を運ぶ昆虫に一番目につきやすいから」だそうだが、人の目にも、枯れ野を彩る黄色の花は鮮やかに映る▼また黄色は、光のイメージに最も近い色とされ、躍動感や希望を想起する人も多いという。それは寒い冬に、暖かい春を待ちわびる心にも通じ、黄色は春告げ色とも言い換えられそうだ。

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