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片隅抄

2015.04.18

市内の神社では春の例大祭たけなわだ。小さな農村地帯にあるわが集落でも好天に恵まれた12日、本神輿と子ども神輿が田んぼ道を練り歩いた▼神輿を担ぐのは〝屈強〟でも〝若衆〟でもない消防団員と決まっている。今年も全員が集まらず、56歳のOBである抄子も出張るはめになった。市内の有名神社の由緒ある神輿とは違えど、重い! 約4㌔ほどの道のりを6人で担ぎ通した。両肩には今年も赤いアザが3、4日消えなかった▼「そろそろ車で運ぶか……」という声がないでもないが、先輩たちから受け継いだ氏子としての意地が一線を越えさせない。わが集落にも新顔の住民が増えてきたが、祭りはふだん顔を合わせることの少ない人たちが親ぼくを深める大事な一日なのだ▼家々の門口ではお神酒や酢の物などを用意して、近隣の人たちが神輿の到着を待っている。「あらら痛そうだね。頑張って」と笑顔で見送られるたびに、自分も集落の一員なのだと実感する。

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