「8月15日」は終わったが戦後70年の今、じかに戦争を知る人々から話を聞ける時間は残り少ない。寸暇を惜しむがごとく、先達の話に耳を傾けねばなるまい▼その念をより強くしたのが、小川町の国府田英二さん(91)の回顧録『昭和の子ども』との出合いだ。中にあったのが、国民学校の代用教員だった国府田さんが少年志願兵の勧誘に生徒の家を訪ねたとき、その祖母に「先生自ら志願したらどうか」と言われたというくだり▼その時、国府田さんは「そうだ、自分が率先してやらねば」と考え、海軍に志願する決断をしたという。「日本の盛衰はわれわれ青年の両肩にかかっている」と思い詰めたとも▼現代日本に生きる私たちは、戦争が生むのは悲劇のみと知っている。だが当時は、その先に活路があると信じさせられていた。国全体が、道を誤った時代を繰り返してはならない。そのためには常に考え続ける必要があると、終戦記念日が過ぎた今こそ、言いおきたい。