去りゆく夏を惜しむことなく一足飛びに秋になった感じがするが、今夏もまさに〝殺人的〟な酷暑に見舞われた▼昭和39年の東京五輪開会式。「世界中の青空を全部東京にもってきたような…」と実況された国立競技場の上空は台風一過の秋晴れだった。近代五輪が始まったころは4~5月開催で、その後は夏になったが緯度の高い欧州が多くまだよかった▼夏季大会と位置づけされるようになったのは、プロ参加の商業五輪となった昭和59年のロサンゼルス大会からで、テレビなど大口スポンサーの影響が多いといわれている。今度の東京では8月2日に女子、9日に男子マラソンが実施される予定だが、何人が無事生還できるだろうか。ロス五輪で熱中症になったアンデルセン選手のゴールシーンが記憶に残る▼夏の甲子園も、秋季大会との日程や夏休み中だからこそ開催できるという都合もあるだろう。しかし、選手のためを考えれば〝スポーツの秋〟が一番なのだが。
片隅抄