南地区を担当していたころ、地元の高校にはよく取材に出向いた。校舎内の壁には本紙に掲載された生徒の文化活動、スポーツ成績などの記事が張られ、それを見るたび、こちらの意欲も高まったものだ▼東日本大震災では、市内いくつもの教育施設が被災した。特に「4・11」発生の内陸直下型地震は南地区の被害をさらに拡大させ、激震に見舞われた高校では校舎の損壊など学校運営に大きな影響をおよぼした▼その一つに磐城農業高がある。校舎のみならず実業校に不可欠な実習棟も被災。生徒は他校、遠隔地などで勉強、専門技術の習得に努めなければならず、復旧まで慣れない生活に身を置いた▼あれから4年半がすぎた。多くの支援などにより再生を果たし、そのシンボルともいえる事業「磐農ストア」を自校で開くまでにいたった。生徒が丹精込めて作った新鮮、安価の野菜、卵、加工商品が飛ぶように売れたという。同校を知る者として感慨深い。