昭和を代表する名横綱、初代若乃花の花田勝治さんが亡くなった▼古き良き時代の角界を知る〝土俵の鬼〟にとって、野球賭博や朝青龍騒動などで〝汚れた土俵〟の正常(清浄)化を見ることができなかったのは、さぞ心残りだったろう▼無理へんにゲンコツと書いて大相撲と読んだ時代、小さな体で横綱までのぼり詰めた人。現役時代の取り組みはビデオでしか知る由がないが、力士・若乃花よりむしろ、弟の貴ノ花が初優勝したとき、協会の計らいで特別に優勝旗を贈呈させてもらった兄としての二子山親方の姿が印象に強い▼のちに理事長となるが、カリスマ性を帯びた理事長はこの人が最後ではなかったか。昭和から平成になって、力士の体質も、大相撲を見る世間の目も変わったのに、時代の流れに対応できなかった協会。リーダーの責任は重い。それは角界だけでなく、今の政治の世界も同じであろう。国技の、日本の旗頭となる真のリーダーの登場に期待する。