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片隅抄

2016.03.19

先輩記者たちが「いわきに密着した連載こそが夕刊としての本分!」と意気に感じ、地元ならではの独自の切り口で企画を持ち寄った時期があった▼テーマが決まるとそれにそった小項目に分け、記者たちは通常の取材の合間、当時〝カラス号〟と呼んでいた黒の原付きバイクにまたがって四方八方に飛び散っていく……▼調べたいことがあって、たまに創刊時からの古い夕刊が保管してある倉庫に入ることがある。すると本来の用事そっちのけで、つい昔の記事に読みふけってしまうのだ▼手前みそながら出色の連載があった。約30年前の昭和63年2月4日から4月5日まで47回にわたり掲載した『ウミネコに誘われて――早春のいわき七浜を歩く』▼北は末続から南は勿来まで、約60㌔のいわきの海岸線で紡がれる住民の暮らしや生業、自然、文化などを紹介しようと、記者たちが地に足つけてリレーした。5年前の震災があっただけに、いま読み返すと胸が熱くなる。

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