そろそろ修学旅行の季節だ。抄子が高校生のころは京都・奈良が定番だったが、今では北海道や沖縄、果ては海外にまで飛ぶという豪華なツアーになっている▼この10月、修学旅行で京都・奈良へ行く高校生の娘は、中学時代も同じ場所だっただけに残念そうだった。ただ、毎週見ている大河ドラマ『龍馬伝』ゆかりの地を自分の目で見、〝夜明け前〟の日本を揺り動かした幕末の志士たちの思いに触れてもらえたら幸いだ▼正直なところ、生徒たちに駆け足で奈良・平安時代の寺院や仏像を見せてどれだけ得るものがあるか疑問に思う。もう少し大人になってからじっくり見て、そのよさがわかるというものではないか▼であれば、親心としてはせっかくの機会だから、少し費用負担を無理してでも沖縄に行かせたい。悲惨な戦争跡地を巡って、古老たちから話を聞き、普天間などの米軍基地を自分の目で見る。10代の心に響くのは、お寺の鐘よりも戦闘機の爆音だと思う。
片隅抄