先日、読者から記事の問い合わせがあった。何事かと身構えてみたところ、ある警察署が迷子になった子どもを店内で発見した商業店舗の従業員を表彰した件だった▼「自分の店でいなくなった子ども見つけて、どうして表彰されるのか」「警察の発表をそのまま載せるのか」などというもの。「いなくなったのは、その店舗付近であり、店内ではないですよ」と答えたがいまひとつ▼「突然いなくなったとすれば、怖いことですよね」と迷子になった経緯が載ってない文脈を突いてくる。一度電話を切り、取材した記者に確認。再度の問い合わせに、ある事情を伝え納得していただいた▼この事案ではないが、確かに「怖いこと」は実際に起きている。国立大生の男に監禁された埼玉県朝霞市の女子中学生が2年ぶりに保護された。行方不明時から今まで、どれだけ両親らが心配したか、この男には知る由もない。社会の中で平然と暮らしていたことに恐怖を覚える。
片隅抄