日曜日、ある銀行のATMコーナーにいたら、70も半ばくらいの年配の女性に声をかけられた▼「銀行のキャッシュカードを落としてしまって…。きょうは銀行休みだし、どうしたらいいんでしょうかねぇ」と、カードが悪用されないか困っているようだった。コーナーにはほかに誰もいない▼この支店の通用口のチャイムを押したが無人、地域の基幹店であろう平店も留守番電話。本店に電話したら通帳やカードを紛失した場合の電話番号の応答メッセージが流れた。それを教えると、女性は大変喜んでくれた▼もとより筆者は善人であるし、自分も紛失した経験があるので女性の心配する気持ちがよくわかった。でも――。もし筆者が、お年寄りを狙い撃ちする〝なりすまし詐欺〟のような男だったら、この場合、銀行に電話するふりをして言葉巧みに暗証番号を聞き出していたかもしれない。毎年何千億と言う金が詐欺で奪われる。身の回りに潜む危険がこんなところにもあった。