「今の若い連中ときたら神輿も満足に担げやしねぇんだがら。昔は部落のみんなの前で威勢よく神輿を揉んだのによぉ」▼古老たちが毎年、苦虫を噛みつぶしたような顔でうそぶく。小さな農村で行われる春の例大祭で、年に1度、神輿が繰り出される。少子高齢化で神輿を担ぐ青年たちが少なくなり、50歳前後のオジサンたちが肩に食い込む神輿の重さに耐えながら田んぼ道を進むのである▼9日の祭りは雨で、神輿は神社に置かれたままだった。実は今年から、初めてコースの一部を車の荷台に乗せて運ぶ手はずとなっていた。古老の嘆きをよそに、戦前から続く長い慣習がストップする予定だったが、歴史的英断は、ともあれ1年先送りされた▼由緒ある神社の立派な神輿を担いだ経験はないが、神輿+担ぎ棒の総重量と担ぎ手の人数を計算した場合の1人当たりの負荷はどうなんだろうと思う。重量比べはともかく、5~6人で担ぐ神輿の重さはずっと忘れられない。