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片隅抄

2017.05.13

明日は「母の日」。幼稚園や保育所では、この日に備えて子どもたちにお母さんの似顔絵を描かせることが多い▼幼い子の絵だからと侮ってはいけない。画家や漫画家のそれのように酷似せずとも、目や口などデフォルメされた部分に〝優しい〟〝怖い〟〝口うるさい〟など、子どもがもつ母親のイメージが投影されている▼娘は3歳のとき母親を亡くし、その面影を知らずに育った。通っていた保育所でもお母さんの絵を描かされたが、子どもはたくましいもので、母親代わりの祖母の似顔絵を描いてきた▼その祖母――抄子の母親はもうすぐ米寿を迎える。85歳を過ぎたころから毎年、母の日は今年が最後かもしれないと思ってきた。最近は認知症気味になって、「母の日」の意味もわからないかもしれない。あるアンケートで、「母の日」に何が欲しいか世の母親たちにたずねたところ、『家族と一緒に過ごす時間』が最も多かった。高価な贈り物ではないということだ。

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