昭和36年に発表された名コピー「トリスを飲んでHawaiiへ行こう!」。当時、洋酒の寿屋(現サントリーHD)宣伝部に籍を置いた、のちの直木賞作家山口瞳さん制作によるものだ▼販促キャンペーンの一環で1等賞品がハワイ招待ではなく、旅行目的の積立預金証書が得られるというものだった。とはいえ戦後20年も経ておらず庶民が海外旅行に夢見たことは想像できる。このコピーから5年後、あるキャッチフレーズが世に出た▼「1000円持ってハワイに行こう!」。昭和41年1月にオープンした「常磐ハワイアンセンター」の集客文である。あらためて考えると、1人でなく家族3人が対象かと思う。50年前の1000円は存在感があった▼スパリゾートハワイアンズは21日まで、復刻ウイークを展開している。入場口看板、チケットを創業時のものに再現するなど新しい魅力を発信するが、同社では困難を乗り越えた「原点回帰」が大事と気持ちを新たにする。