総合図書館から借りたDVDでNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」を見ている▼印象に強いのは、松下奈緒演じる主人公の父親役を演じた大杉漣だ。豪放磊落でワンマンだが、娘の幸せを誰より願う優しさがにじみ出る演技は、この人を置いてほかはない。66歳という若さで今年2月に急逝したのは何とも惜しかった▼先日、テレビで「遠山の金さん」が放映された。主役を演じたのはTOKIOの松岡昌宏。中村梅之助、高橋英樹、松方弘樹ら歴代の重厚な演技を見た目には物足りなさを感じた。「ゲゲゲ…」では昨年6月に死去した野際陽子が主人公の一番の理解者としての祖母役(語りも)を演じ、ドラマに安心感をもたらしていた▼この10日には、名わき役として欠かせなかった菅井きんも亡くなった。高倉健のときもそうだったが、あらためてその存在感の大きさを知る名優がここ数年、鬼籍に入っている。その後を継ぐ若手・中堅の奮起を期待したいものだ。
片隅抄