現職有利と伝えられる中、自民党総裁選が火ぶたを切った。安倍1強にくさびを打ち込もうと立候補した石破茂元幹事長。独特の言い回し、顔つきがこの人の個性だが結果はいかに▼政治姿勢の源流をたどれば安倍氏は福田赳夫元首相、石破氏にいたっては同じ首相経験者田中角栄氏に行きつく。「政治は数、数は力」「政治は最高の道徳」。いわずと知れた両師匠の言葉だ▼現在の状況では、この教えが真逆に思えてくる。まさに数を支配する現総裁、はっきりとものを言う挑戦者。政権を巡る闘争は自民党の歴史そのもの。かつて派閥の実力者が争ったのち、党内に火種を残し、国民生活に影響したこともある▼憲法改正、消費税増税、経済問題、外交などを提唱するが、喫緊の課題には大きな被害をもたらした北海道地震、西日本豪雨の対策、さらには東日本大震災の完全復興もある。コップの中の嵐などと揶揄されないよう、勝者は真摯でなければならない。