大地が激しく揺れ、想像を絶する大津波。さらに人知のおよぶ世界を遥かに超えた東電福島第一原発事故。あの東日本大震災発生から、きょうで7年半になる▼復旧・復興を旗印にハード・ソフト面で推進された行政主導の各事業もそろそろ完結の感もあるが、課題は山積する。身近な点では「食」に関する風評被害。地元消費者の立場からは深く考えないが、生産者にすれば死活問題だろう▼先日、トリチウム水の処分方法を巡る公聴会が各地で開かれたが、原子力規制委員会が主張する「海洋放出」には出席した漁業団体などから反対の意見が相次いだ。どれほど手を加えようと、汚れた水を海に流すとはイメージが悪すぎる▼とはいえ、北海道地震にみる電力喪失を考えると、安定したエネルギー確保は喫緊の課題。あれから7年半だが太平洋側でも時々不気味な揺れが起きている。「天災は忘れたころにやって来る」ではなく、忘れなくてもやって来るのである。