美術館から、企画展のPR資料と一緒に招待券をいただくことがある。せっかくなので読者プレゼントに活用している▼当選者には、企画展の招待券とリーフレットと合わせて短い手紙を添える。往復の道中、トラブルなく企画展を楽しんでもらう。すぐれた絵画や陶器などを見ることによって何か得るものがあってほしい、と祈りながら▼手紙を同封するようになったのは俳優高倉健さんの影響だ。筆まめな高倉さんは親しい友人知人に何事かあると、よく手紙を書いた。高倉さんが亡くなって、その手紙を受け取った多くの人が慰められ、勇気を与えられたと語っていた▼当選者から返信を頂戴することがある。お礼のメッセージや観覧して楽しかったという感想などがつづられている。記事に対する反響もあり、先日は、ミズバショウの群生地を書いた本欄の記事に対して新しい情報が寄せられた。読者とのキャッチボール。書き手としてこんなうれしいことはない。
片隅抄